DAIの思想を継承し、分散型ステーブルコインを「実用フェーズ」へ進める通貨
分散型ステーブルコインは次の段階へ
DAIからUSDSへ
Sky Protocolは、DAIを完全に置き換えるのではなく、用途に応じて選択できる「併存モデル」を採用している。DAIは理念を証明した存在として残り、USDSはその理念を持続的に使い続けるための新しい設計として誕生した。
1. DAIとUSDSの関係を正しく理解する
まず重要なのは、DAIとUSDSは「旧通貨と新通貨」という単純な関係ではないという点である。
DAI
理念の証明
理念の証明
1:1変換
任意選択
任意選択
USDS
実装の最適化
実装の最適化
DAIの役割
- 分散型ステーブルコインの原型
- 中央管理に依存しない安定通貨の実証
- DeFiの基軸通貨としての確立
- 純粋な分散性を重視するユーザー向け
USDSの役割
- 分散性を維持したままの実運用対応
- 規制・RWA・マルチチェーン前提の設計
- Sky Protocolの中核ステーブルコイン
- 機関投資家や大規模利用への対応
DAIが「理念を証明した存在」なら、USDSは「その理念を持続的に使い続けるための設計」である。
2. なぜUSDSが必要だったのか ― DAIが直面した限界
DAIは分散型金融の象徴だったが、成長とともに課題も明確になった。
DAIが抱えていた現実的な課題
規制環境との摩擦
各国の金融規制への対応が必要になった
ガバナンスの複雑化
意思決定プロセスの効率化が求められた
機関投資家対応
大規模資本の受け入れ体制が不十分だった
マルチチェーン制約
複数ブロックチェーンへの展開が限定的だった
重要な視点: これらは「失敗」ではなく、分散型通貨が現実世界に近づいた結果、必然的に生じた問題である。USDSはこれらの課題に正面から向き合う設計となっている。
Sky Protocolの選択
「理念を捨てず、現実を受け入れる」
Sky Protocolは次の方向性を選んだ:
• 分散型であることを前提に
• 規制を”敵”ではなく”制約条件”として組み込む
• RWA(現実資産)を本格統合する
その答えが USDS である。
3. USDSの仕組み ― DAIと何が同じで、何が違うのか
共通点:安定性の根幹は同じ
USDSは、DAIと同様に過剰担保型ステーブルコインである。
- 担保を預けて発行
- 担保比率が下がれば自動清算
- スマートコントラクトによる自律制御
👉 「1 USDS ≒ 1 USD」を守るロジックはDAIと連続している
違い①:担保構造の重心がRWAへ
| 項目 | DAI | USDS |
|---|---|---|
| 主担保 | 暗号資産中心 | RWA中心 |
| 価格変動耐性 | 中 | 高 |
| 実経済との接続 | 限定的 | 強化 |
| 担保例 | ETH、WBTC等 | 米国債、不動産債権等 |
USDSでは、米国債や不動産債権など価格変動の小さい現実資産が担保の中核を担う。これにより、暗号資産市場の急激な変動から切り離された安定性を実現している。
違い②:ガバナンスと報酬設計
項目
DAI
USDS
変更点
ガバナンストークン
MKR
SKY
新設計
報酬システム
DSR
(DAI Savings Rate)
(DAI Savings Rate)
SSR
(Sky Savings Rate)
(Sky Savings Rate)
SKY報酬追加
投票権重
MKR保有量
SKY保有量
再調整
インセンティブ
利回りのみ
利回り + SKY報酬
二重構造
SKYトークンの役割:
• プロトコルのガバナンス投票
• USDS保有者への報酬配布
• エコシステムの長期インセンティブ設計
• MKRとの交換レート: 1 MKR = 24,000 SKY
• プロトコルのガバナンス投票
• USDS保有者への報酬配布
• エコシステムの長期インセンティブ設計
• MKRとの交換レート: 1 MKR = 24,000 SKY
違い③:規制対応を前提にした機能制御
USDSでは、一部利回り機能や報酬関連機能が地域ごとに制限される場合がある。
地域別利用可能機能マップ
🇯🇵
日本
✅ 基本機能:利用可能 / ⚠️ SKY報酬:制限あり / ⚠️ SSR:制限あり
🌍
ほとんどの地域
✅ 基本機能:全て利用可能 / ✅ SKY報酬:利用可能 / ✅ SSR (Sky Savings Rate):利用可能
🇺🇸
米国
✅ 基本機能:利用可能 / ⚠️ SKY報酬:制限あり / ⚠️ SSR:制限あり
🇬🇧
英国
✅ 基本機能:利用可能 / ⚠️ SKY報酬:制限あり / ⚠️ SSR:制限あり
これは中央集権化ではなく、プロトコルを存続させるための設計上の選択である。規制環境に適応しながら、できるだけ多くの地域でサービスを提供し続けることを目指している。
4. USDSの主な活用シーン(DAIとの使い分け)
DeFiの基軸通貨
| 特性 | DAI | USDS |
|---|---|---|
| 適した用途 | 理念重視・純粋DeFi | 実需・大規模流動性 |
| ユーザー層 | 分散性を最重視する層 | 実用性と安定性を重視する層 |
| レンディング | 従来型ププロトコル | RWA連動型プロトコル |
RWA連動型金融
- USDSが中心:実資産を担保としたオンチェーン金融商品の発行
- 不動産トークン化プロジェクトでの決済通貨
- 企業債のオンチェーン取引
- 機関投資家向けDeFi商品の基軸
規制下でのWeb3活用
- 機関投資家向けDeFiプラットフォーム
- 準金融商品的なユースケース
- コンプライアンス対応が必要なサービス
- 伝統的金融機関との連携プロジェクト
5. 中央集権型ステーブルコインとの違い
| 観点 | USDT / USDC | DAI | USDS |
|---|---|---|---|
| 管理主体 | 企業(Tether / Circle) | 分散型プロトコル | 分散型プロトコル |
| 規制対応 | 企業判断 | 最小限 | 設計に組込 |
| 担保 | 銀行預金・短期証券 | 暗号資産+RWA | RWA中心 |
| 透明性 | 定期監査 | オンチェーン | オンチェーン |
| 凍結リスク | あり | なし | なし |
| 報酬システム | なし | DSR | SSR + SKY |
USDSは「企業通貨」と「純粋分散型通貨」の中間にある、新しいカテゴリと言える。分散性を維持しながら、現実世界での実用性を高めた設計である。
6. USDSの強みと課題
強み
DAIの継承
実証済みの安定メカニズムを基盤とする
高い価格安定性
RWA担保による変動リスクの低減
規制適合性
持続可能な運営を見据えた設計
二重報酬
利回り(SSR) + SKYトークン報酬
マルチチェーン
複数ブロックチェーンでの展開
機関対応
大規模資本の受け入れ体制
課題
- 分散性の純度:DAIより規制対応を優先した設計のため、完全な分散性はやや低下
- 地域による機能差:居住地によって利用できる機能に制限がある
- 設計理解の難易度:DAIとの違いや移行のメリットが分かりにくい
- エコシステムの成熟度:DAIほど広範な統合が進んでいない(現在進行中)
- SKYトークンの価値:新しいトークンのため、長期的価値が不確定
トレードオフの理解が重要: USDSは「完全な分散性」と「実用的な持続可能性」のバランスを取った設計である。どちらを重視するかで、DAIとUSDSのどちらを選ぶかが変わってくる。
7. DAI→USDSへの移行方法
DAI保有
Sky公式サイトで変換
USDS取得
移行の特徴
- 変換レート:1 DAI = 1 USDS(完全等価交換)
- 手数料:通常、ガス代のみ(変換手数料なし)
- 可逆性:USDS → DAIへの戻し変換も可能
- 任意性:強制ではなく、ユーザーの選択
- 期限:現時点で移行期限は設定されていない
移行を検討すべきユーザー
- SKY報酬を受け取りたい(対象地域の場合)
- より高い利回り(SSR)を期待する
- RWA担保による安定性を重視する
- Sky Protocolの新機能を活用したい
- 規制対応が整ったプロトコルを使いたい
DAIのままで良いユーザー
- 純粋な分散性を最重視する
- 既存のDeFiプロトコルで問題なく使えている
- 規制対応による機能制限を避けたい
- 実績のあるDAIを信頼している
8. まとめ ― DAIとUSDSは「対立」ではない
DAI
思想的完成形
Pure Decentralization
Pure Decentralization
USDS
実用性
Practicality
Practicality
Sky Protocolは、「どちらかを選ぶ」のではなく「両立させる」道を選んだ。それが、DAIとUSDSが併存する理由である。
分散型ステーブルコインの未来
USDSは、分散型金融が「実験段階」から「実用段階」へ移行するための重要な一歩である。
理念と現実、分散性と持続可能性—このバランスを取りながら、暗号資産が真に社会インフラとなるための道を模索している。
DAIが切り開いた道を、USDSがさらに前進させる。
これが、Sky Protocolが描く分散型ステーブルコインの進化である。
USDSは、分散型金融が「実験段階」から「実用段階」へ移行するための重要な一歩である。
理念と現実、分散性と持続可能性—このバランスを取りながら、暗号資産が真に社会インフラとなるための道を模索している。
DAIが切り開いた道を、USDSがさらに前進させる。
これが、Sky Protocolが描く分散型ステーブルコインの進化である。
よくある質問(FAQ)
Q1. DAIはなくなってしまうのですか?
いいえ。DAIは「レガシートークン」として引き続き存在し、利用可能です。USDSへの移行は任意であり、強制ではありません。
Q2. USDSとDAIはどちらが安全ですか?
両方とも同じ担保メカニズムを使用しているため、安全性の根幹は同じと言えます。USDSはRWA担保の割合が高いため、暗号資産市場の変動からは切り離されやすい設計となっているのが特徴です。
Q3. SKY報酬はどの国でも受け取れますか?
いいえ。米国・英国、そして日本を含む特定の管轄区域では、金融規制の観点からSKY報酬やSSRの利用に制限があります。お住まいの地域の規制を確認してください。
Q4. USDSの方がDAIより利回りが高いですか?
一般的に、USDSのSSR(Sky Savings Rate)はDAIのDSRより高く設定されることがあります。さらにSKYトークン報酬も加わるため、対象地域では二重の報酬が期待できます。ただし、利回りは市場状況により変動するので注意が必要です。
Q5. DAIからUSDSへの変換に手数料はかかりますか?
変換手数料自体は無料ですが、Ethereumのガス代(トランザクション手数料)は必要です。ガス代はネットワークの混雑状況により変動します。
Q6. USDSをDAIに戻すことはできますか?
はい、可能です。USDSからDAIへの逆変換も1:1レートで行えます。この双方向性により、ユーザーは状況に応じて柔軟に選択することができます。
Q7. MKRとSKYの関係を教えてください
MKR(MakerDAOのガバナンストークン)は、SKY(Sky Protocolのガバナンストークン)に1:24,000の比率で交換可能です。両方とも保有し続けることもできます。
Q8. USDSはどのブロックチェーンで使えるか?
USDSは主にEthereumで発行されますが、Sky Protocolはマルチチェーン展開を進めており、今後さらに多くのブロックチェーンで利用可能になる予定です。
Q9. 日本でUSDSの全機能は使えるか?
2026年1月時点では、日本はSKY報酬やSSRの利用制限対象に含まれていません。ただし、規制環境は変化する可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認することをお勧めします。
Q10. USDSとUSDCの違いは何ですか?
USDCは企業(Circle)が発行・管理する中央集権型ステーブルコインです。一方、USDSは分散型プロトコル(Sky Protocol)が運営し、スマートコントラクトで自動管理されています。USDSは分散性を維持しながら実用性を高めた設計です。


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